東京・日本料理「雲海」|庭園を望む冬の会席
ANAインターコンチネンタルホテル東京にある日本料理「雲海」。滝の音が聞こえ、錦鯉が泳ぐ日本庭園を眺めながら、旬を盛り込んだ会席料理をいただけます。この夜に味わった料理を、順に振り返ります。
改装を終えたANAインターコンチネンタルホテル東京
2024年に大規模改装を終えたANAインターコンチネンタルホテル東京は、観光の拠点として使いやすい立地です。館内に戻れば、都心の慌ただしさから離れて落ち着けます。改装後の総客室数は801室。新しい客室には折り紙を着想源とした意匠が取り入れられ、現代的な室内に日本らしい造形がさりげなくなじんでいます。銀座や六本木にも近く、文化施設やエンターテインメントエリアへも足を運びやすい場所です。私たちもこのホテルに宿泊し(関連記事:生まれ変わったANAインターコンチネンタルホテル東京)、夕食に日本料理「雲海」を訪れました。
滝と錦鯉のいる日本庭園
日本料理「雲海」があるのはホテルの3階。大きな窓の向こうには滝と池のある日本庭園が広がり、錦鯉がゆったりと泳いでいます。植栽には季節の変化が表れ、食事の途中にも自然と庭へ目が向きます。2026年4月までは、子どもの健やかな成長を願う「つるし飾り」も展示され、春らしいしつらえが見られました。
客席は互いの視線が交わりにくく、テーブル間にも十分なゆとりがあります。窓際の席では庭を眺めながら食事ができ、着物姿のスタッフが会席の進み具合を見ながら一品ずつ運んでくれます。畳敷きの座敷や扉を閉められる個室もあり、家族の祝い事や会食など、周囲に気兼ねなく話したい場にも向いています。
器と献立に表れる季節
日本料理「雲海」の会席は、食材だけでなく、器や盛り付けにもその時季らしさがあります。複数の会席に加え、季節に合わせた献立や家族の慶事に向く料理も選べます。飲み物はビール、ワイン、日本酒、焼酎まで幅広く、料理や好みに合わせて選びやすい内容です。
冬の会席料理「恵」を一品ずつ
この夜に選んだ会席料理「恵」は、二品を一皿に盛り合わせた先付から始まりました。蒸した蕪にはずわい蟹と百合根を合わせ、季節の山菜を添えています。もう一品は、揚げた鰻と筍。香ばしい衣と歯切れのよい筍に、鰻の脂の旨みが重なります。合わせたのは、奈良・今西酒造株式会社の「みむろ杉 ろまんシリーズ 特別純米 辛口 露葉風」。後口がすっきりとしており、先付から食事まで通して合わせました。
白味噌仕立ての椀には、鱈の白子、湯葉、里芋、蕪が入っています。白味噌の丸い甘みに白子のコクが溶け込み、湯葉のなめらかさと根菜の穏やかな甘みが重なります。辛子で味が締まり、柚子が後口を軽くする、冬らしい一椀でした。
造りは鮪、平目、縞鯵の三種。余白を広く取った陶器の皿に、笹や昆布とともに端正に盛られています。魚はいずれも鮮度がよく、山葵と醤油は少量で十分。それぞれの身質や脂の違いがはっきりと分かりました。
焼物は、甘鯛と真鯛を胡麻だれで仕上げた一皿。三つ葉と独活の香り、独活の歯触りによって、濃い胡麻だれも重たく感じません。薄切りの唐墨の塩気とうま味に、生姜の辛みも利いていました。
煮物は、鶏そぼろを射込んだ堀川牛蒡。牛蒡の香りと鶏のうま味が煮汁にも行き渡り、慈姑、人参、蕗が添えられています。根菜ごとに食感が異なり、最後には針柚子の香りがほのかに残ります。
食事は近江牛をのせた白御飯。近江牛はやわらかく、脂の甘みに山葵の辛みと芥子の実の粒感がよく合い、最後まで重さを感じません。赤出汁と香の物も添えられ、穏やかな味で会席を結びます。
甘味は、焼き餅を浮かべた小豆の汁粉。香ばしく焼けた餅と小豆の素朴な甘さに、苺、林檎、青葡萄が添えられています。果実の酸味とみずみずしさが、食後の口をさっぱりと整えてくれました。
総評
日本料理「雲海」で印象に残ったのは、庭園を眺められる落ち着いた客席で、急かされることなく一品ずつ味わえたことです。会席は味を重ねすぎず、それぞれの素材の持ち味がよく分かります。白味噌の椀や根菜の煮物には、冬の献立らしい温かさもありました。個室もあるため、記念日の食事や改まった会食など、静かに話せる場所を探すときに選びやすい一軒です。
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Unkai Japanese Restaurant