東京のデザインホテルを見て回ると、美意識が単なる装飾ではなく、空間設計の根幹にあることがわかります。青山・表参道には、プリツカー賞を受賞した建築家の建物を生かしたホテルがあり、ロビーのインスタレーションも定期的に入れ替わります。一方、渋谷の新しいホテルでは、むき出しのコンクリートに檜のスクリーンを合わせ、目黒の工房に特注した家具で硬質な印象をやわらげています。客室に備えた特注の茶器、伊豆産の火山岩を張ったバスルーム、体内時計のリズムに配慮した廊下の照明。目につきにくい部分まで、設計の意図が通っています。その顔ぶれは、市内のトレンド感のあるホテルとも重なります。
東京の東側、隅田川沿いの蔵前では、倉庫を改装し、露出した鉄骨と畳敷きの就寝スペースを組み合わせたホテルが見られます。対して銀座のデザインホテルは、より抑制の利いた佇まいです。単色を基調にした内装、回転式の障子、必要なものだけを置いた客室。そこには、日本らしい引き算の感覚が表れています。東京のおすすめホテルを幅広く比較するなら、デザインを軸に選ぶ一軒は、ひと味違う候補になります。建築から内装までをひと続きの作品として眺めるうち、建物そのものが東京で過ごす時間の一部になっていきます。