Skip to content

BELLUSTAR TOKYO|新宿を見下ろす静かなホテルステイ

Florence Consul
Florence Consul ·

東京の上空に身を置くような感覚。それがBELLUSTAR TOKYOの第一印象だった。東急歌舞伎町タワーの最上層から見下ろすと、新宿の街は絶えず動いている。一方、館内には和の意匠をさりげなく取り入れた、余白のある空間が広がる。大きな窓からの眺めと、日本各地の食材に目を向けた料理が、このホテルの滞在を印象づけていた。

歌舞伎町から39階へ

BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotelが開業したのは2023年5月。高さ225mの東急歌舞伎町タワー内、39階から47階に位置する。劇場や映画館が入り、夜遅くまで人通りの絶えない歌舞伎町にありながら、客室まで上がると街の音は遠のく。新宿の夜景を間近に眺めながら、その熱気とはほどよい距離を保てるのが、この立地の面白さだ。ホテルの静けさから、新宿駅へ続く入り組んだ街路へ、わずか2分ほどで戻れる軽快さもある。

© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO

眺望を引き立てる和の意匠

館内は抑えた色調で統一され、眼下の歌舞伎町を彩るネオンとは対照的だ。ちゃぶ台を思わせる低いテーブルや大ぶりの和紙照明が、直線的な空間に柔らかさを添えている。ただし、主役はあくまで床から天井まで届く窓の先に広がる東京。最上層は「天空のプライベートヴィラ」と呼ばれ、ペントハウスのほか、レストラン、バー、SPA sunyaが一つのエリアに集まっている。

大窓が切り取る東京の眺望

一般客室とスイートは全92室、7カテゴリーで、広さは41㎡から。装飾を抑えた室内に質感の異なる素材を重ね、日本らしい意匠を控えめに取り入れている。これとは別に、ホテル最上位の客室として、趣の異なる5室のペントハウスがある。

私たちが滞在したのはスタジオプレミア。キングベッド1台、またはダブルベッド2台を備えた、ゆとりのある客室だ。何より目を引くのは、幅約7mの窓から望む新宿と歌舞伎町。昼はビルの間を行き交う人や車が見え、夜になると無数の明かりが街の輪郭を浮かび上がらせる。窓辺に座っているだけで、いつの間にか時間が過ぎていた。バスルームはシャワーとバスタブが分かれており、街歩きのあとにゆっくり湯に浸かれるのもよかった。

東京の眺めとともに始める朝

朝食は、眼下に広がる東京を眺めながらいただく。フレッシュジュースや温かい飲み物とともに、洋食を中心としたメニューから好みの品を選ぶスタイルだ。ラタトゥイユと生ハムを添えたエッグベネディクトのほか、各種卵料理、ブリオッシュのフレンチトースト、ペストリーがそろう。グルテンフリーや乳製品不使用の選択肢もあり、食事制限がある場合でも選びやすい。

日本各地の素材をフレンチで

メインダイニングのRestaurant Bellustarは、「素材で旅するレストラン」を掲げるモダンフレンチ。高さ約13mの3層吹き抜けには、大巻伸嗣の作品が光と影を映し出し、ノーマン・フォスターによる家具が置かれている。料理は日本各地の食材をフランス料理の技法で仕立てたもの。合わせる飲み物は、ソムリエが選ぶワイン、日本酒、ノンアルコールドリンクから選べる。

© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO

厨房を率いるのは竹末宗弘シェフ。ミシュラン星付きレストランで経験を積み、パリの三つ星店での研修も経て、素材本来の持ち味を引き出す料理に取り組んでいる。私たちが訪れた日は、中国・四国地方をテーマにした季節のコース。かつべ牛やジビエなど、産地の風土が伝わる食材が随所に使われていた。

© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO

HOSHIコースは、シャンパーニュと3種のアミューズから始まった。飾りすぎず、素材の輪郭を端正に見せる小さな料理が並ぶ。窓の向こうに東京の夜景が広がるなか、これから続くコースへ自然に気持ちが向かう導入だった。

続いて運ばれたのは、マリネしたアオリイカのタルタルにキャビアオシェトラを重ねた一皿。キャビアの塩味とイカの穏やかな甘みに、青リンゴのムースが明るい酸味を加える。食用花とマイクログリーンを散らした皿の傍らには、香ばしく焼いた二種のひと口料理が添えられ、それぞれ異なる食感を楽しめた。

一皿目の前菜は、昆布締めにした真鯛を円形に並べ、透き通ったトマトのジュレで覆ったもの。柿のまろやかな甘さに、オクラの青い風味とアーモンドの軽い歯触りが重なる。花やハーブを散らした盛り付けは華やかだが、味わいは澄んでいた。

二皿目は、雉の胸肉と刻んだ腿肉、原木椎茸を詰めたパイ包み焼き。切り分けると湯気が立ち、しっとり火を入れた肉と薄く香ばしいパイ生地の対比が際立つ。艶のある濃厚なソースが、雉と椎茸の深い香りを受け止めていた。

魚料理は甘鯛の鱗焼き。細かな鱗を立たせて香ばしく焼き上げる一方、身にはみずみずしさが残る。下には細切りの野菜を敷き、紫蘇の実を利かせたラヴィゴットソースの酸味と、アンチョビソースの塩味を重ねていた。

肉料理では、かつべ牛を藁と炭の上に載せ、塊のままテーブルで披露する。立ち上る藁と炭の香り、くっきりとついた焼き色が食欲をそそる。切り分けたリブアイには、時間をかけて煮込んだエストファードと、表面をカリッと焼いたポテトニョッキを添えていた。さらに和牛のタルタルも別に供され、同じ肉を炭火焼き、煮込み、生の三つの仕立てで味わえた。

プレデザートは、ブルーチーズのスフレグラス。なめらかな口当たりと力強いチーズの香りに蜂蜜を合わせると、味の角がほどよく取れる。香ばしいクランチの歯触りも加わり、甘味と塩味の間を行き来する一品だった。

メインデザートは、レモンをかたどった「柑橘類のタルト」。瀬戸内レモン、すだち、柚子、ベルガモットを重ねたクリームに、柑橘のジュレを合わせている。バジルのソルベから青い香りと涼やかさが広がり、食後には明るい酸味が残った。

最後は3種のミニャルディーズ。品数の多いHOSHIコースのあとにも重さを残さない、軽やかな甘さだった。

鉄板、鮨、バーという選択肢

館内にはRestaurant Bellustarのほか、日本料理の2店とメインバーがある。「思いがけない幸運を授かる」という名を持つ鉄板 天祐では、選び抜いた和牛や各地の旬の食材を目の前で焼き上げる。鮨 甚江では、熟練の職人が握る江戸前鮨に、シャンパン、ワイン、日本酒を合わせられる。Bar Bellustarでは、厳選した農園から届く果物や野菜、ハーブ、日本の風土が育んだクラフトリカーを使い、素材の扱いに工夫を凝らしたカクテルを仕立てる。いずれの店でも、高層階からの景色を眺めながら食事や酒を楽しめる。

© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO

47階のSPA sunyaへ

BELLUSTAR TOKYO最上階にあるSPA sunya(スパ スーニャ)の扉を入ると、ほのかな香りと深い静けさに包まれ、地上から遠く離れたことを実感した。「sunya」はサンスクリット語で「空」を意味するという。Herb、Flower、Wood、Fruitと名付けられたトリートメントルームでは、日本の自然や季節から着想した施術を受けられる。

© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO

トリートメントには、日本発のホリスティックスパブランドALL THAT SPAの製品が使われている。人も自然の一部であり、心と体はつながっているという考えを基に、米や柚子、国産レモン、ラベンダー、ネロリなど、日本の自然に由来する素材と香りを取り入れたブランドだ。

私が体験したのは、気の流れを整えることを目的としたホリスティック エナジートリートメント。肌の温度で溶けるALL THAT SPAの「リラクシングバーム ハーモニー」を選んだ。国産レモン、オレンジ、ジャスミン、パチュリ、ベンゾインを重ねた香りが、セラピストの滑らかな手技によくなじむ。温かなバームとともに筋肉のこわばりが少しずつほどけ、施術後には体の軸が戻ったような落ち着きがあった。

© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO
© BELLUSTAR TOKYO

ラウンジと24時間利用できるジム

宿泊者は、46階のLoungeを滞在中いつでも利用できる。2層吹き抜けの空間で、淹れたてのコーヒーや紅茶、ソフトドリンク、軽食を取りながら一息つける場所だ。18階のGYMは24時間営業。イタリア製の最新マシンがそろい、窓の外に東京の街並みを眺めながら、旅先でも普段のトレーニングを続けられる。

総評

BELLUSTAR TOKYOは、歌舞伎町の活気を間近に感じながら、その喧騒とは距離を置けるホテルだ。全97室という比較的小さな規模もあり、館内の空気は終始落ち着いている。大窓からの眺め、余白を残した客室、日本各地の食材に向き合う料理、SPA sunyaでの施術まで、慌ただしい東京滞在の速度を少し緩めてくれる要素がそろっていた。

良かった点

  • 歌舞伎町の中心にありながら、館内では静かに過ごせるプライベート感。
  • 発想のあるモダンフレンチから選択肢の多い朝食まで、ダイニングの水準が高いこと。
  • 日本発のプロダクトと丁寧な手技を組み合わせた、SPA sunyaのトリートメント。

気になった点

  • 客室を完全な暗闇にできなかったこと。深く眠るためには、もう少し確実な遮光が欲しかった。

基本情報

  • スタジオプレミアの宿泊料金は、2025年9月時点で約600ユーロ。

BELLUSTAR TOKYO

1-29-1 Kabukicho, Shinjuku-ku, Tokyo, Japan Google マップで開く
BELLUSTAR TOKYO
ホテル (10)
アフタヌーンティー (2)