浜離宮を望む日本料理「風花」の会席ランチ
コンラッド東京28階の日本料理「風花」は、直線を基調にした和のしつらえと、浜離宮恩賜庭園の先に東京湾を望む景色が印象に残る一軒です。会席、鮨、鉄板焼をそれぞれ独立した席で味わえ、旬の食材を生かす細やかな仕事が随所に見えます。都心の眺めとともに、丁寧に組み立てた日本料理に向き合えます。
アートと眺望を楽しむコンラッド東京
汐留に立つコンラッド東京は、現代的な建築に和の感覚を重ねたホテルです。28階のロビーは天井が高く、点在する現代美術と大きな窓から入る自然光が空間に余白をつくっています。客室にはゆとりあるバスルームがあり、都心側または東京湾側の景色を望む落ち着いた設え。「水月スパ&フィットネス」には室内プールもあり、銀座、築地、浜離宮恩賜庭園へ足を延ばしやすい立地です。
館内には複数のレストランとバーがあり、モダンフレンチ「コラージュ」もその一つ。フランス料理を軸に、日本の要素を取り入れた料理を供しています。以前訪れた際の様子は、こちらの記事で紹介しています。コンラッド東京「コラージュ」で味わう現代フランス料理。今回はホテルの別の表情を知りたく、日本料理「風花」のランチを訪れました。
浜離宮を望む、現代的な和の空間
「風花」があるのはホテルの28階。蔵と墨絵に着想を得た意匠を現代的に整え、天井まで届く窓の向こうには浜離宮恩賜庭園、その先に東京湾とレインボーブリッジが広がります。店内は会席、鮨、鉄板焼の三つのエリアに分かれ、半オープンの厨房を介して緩やかにつながっています。直線的なカウンター、花を描いたガラスの間仕切り、畳敷きの個室があり、景色を眺める昼食にも、周囲を気にせず話したい会食にも使いやすい空間です。
会席、鮨、鉄板焼、それぞれの季節
会席は季節の素材を軸に、皿ごとに調理法や趣を変えて組み立てられます。鮨カウンターでは、旬の魚介を赤シャリと合わせる江戸前鮨を。鉄板焼では、A5ランクの黒毛和牛をはじめとする食材を客の目の前で火入れします。窓外の庭園と湾が時刻とともに表情を変え、鮨と鉄板焼の席では料理人の手元まで間近に見える。料理だけでなく、その場の移ろいにも目が向きます。
実食した昼の会席
私たちが選んだ会席ランチは、皿から皿へのつながりが自然で、素材ごとの味も明瞭でした。最初の先附は、鉱物を思わせる色合いの器に盛られたカリフラワーのムース。白く軽い口当たりのムースに、炙り雲子の濃いうま味と塩気が重なります。万能ねぎの青い香り、控えめな割り醤油、振り柚子が、ムースの穏やかな甘みをすっきりと整えていました。
続く茶碗蒸しは、かすかに揺れるほどなめらかです。中には香ばしく焼いた鶏肉、ふっくらとした海老、うま味の濃い椎茸。とろみのある若布餡は卵のやさしい味を隠さず、うま味を後口まで長く残していました。
お造りは三種。青利烏賊には塩と酢橘を添え、透き通る身の甘みを引き出しています。そぎ造りの白身魚には、香ばしい胡麻醤油を。炙り水蛸は弾力を残しながらもやわらかく、梅肉と加減酢のジュレ、香味野菜が後口を整えます。三種は味の方向がはっきり異なり、順にいただくと後口が自然に切り替わりました。
魚料理は、私は鰤のたれ焼き、夫は天婦羅の盛り合わせを選びました。鰤は艶のある甘辛いたれをまとい、身はほどけるようにやわらかく、表面にはほのかな香ばしさがあります。添えられたのは、甘酢に漬けたホンモロコ、三つ葉の香る玉子焼き、栗、りんごとともに漬けた蓮根。甘酸っぱさや歯触りを変えながら食べ進められます。天婦羅は、海老の薄い衣がからりと揚がり、中の身はしっとり。魚と旬野菜も油がよく切れ、持ち味が素直に残っていました。
続く和牛はヒレ60g。表面を香ばしく焼き、中心は均一なロゼ色で、力を入れずに切れるやわらかさです。蓮根や茄子などの季節野菜が添えられ、薬味とソースは、塩、わさびを思わせる青い薬味、コクのある濃いめのソースの三つ。合わせるものによって、肉の甘みや焼き目の香ばしさが少しずつ違って感じられました。
甘味の前には、握り鮨五貫と味噌仕立ての留椀。整然と並ぶ鮨は、魚ごとの歯触りと味がくっきりし、シャリの加減も穏やかでネタを邪魔しません。合間に温かな留椀をいただくと、コースの終盤でひと息つけました。
締めは、瑞々しいメロン、張りのある葡萄、薄切りのりんご。温かい緑茶には青い香りとほのかな苦みがあります。飾りは控えめで、食後にちょうどよい軽さの甘味でした。
食後に残った印象
「風花」で印象に残ったのは、素材に応じた火入れや味の加減、季節感、そして食事を急かさない穏やかなサービスです。浜離宮恩賜庭園と東京湾へ視界が大きく開けていても、店内には料理へ意識を戻せる落ち着きがあります。会席、鮨、鉄板焼で席の趣と料理の見え方が変わるため、次は別の席で食べてみたい。そう素直に思える一軒でした。
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Kazahana