コンラッド東京「コラージュ」 日本の旬を生かしたモダンフレンチ
東京に数あるフレンチのなかで、コンラッド東京の「コラージュ」が軸に据えるのは、フランス料理の技法と日本各地の食材です。東京湾を望むダイニングで供される皿は端正で、ところどころに遊び心がのぞきます。華美な演出に頼らず、素材の扱いや盛り付けの細部に店の持ち味が表れていました。
コンラッド東京28階のモダンフレンチ
「コラージュ」があるのは、汐留に建つコンラッド東京の28階です。東京湾を見渡すホテルには、全291室のゆとりある客室とスイートのほか、「水月スパ&フィットネス」や屋内プールを備え、数々の受賞歴があります。現代的なデザインに和の要素をさりげなく取り入れた館内と同様、料理にも日本の感性が無理なく息づいています。
東京の景色と向き合うダイニング
28階の高さ7mの窓越しに、刻々と表情を変える東京の街並みが広がります。ベージュを基調とした店内には、柔らかな質感の壁面や厚みのあるカーペット、ゆったりとしたバンケットを配し、白いテーブルクロスが空間を引き締めています。調理風景を望むオープンキッチンに加え、会食や記念日に使いやすい個室も1室。昼は自然光がよく入り、都心の高層階らしい開放感のなかで食事ができます。
日本の旬を、フランス料理の技法で
料理長の影山 拓磨氏は、フランス料理を軸に、日本の季節と産地を皿の上に映します。古典的な技法を踏まえながら、食材の組み合わせや見せ方は大胆。それでも味の輪郭は曖昧になりません。アラカルト、コースともに緻密に組み立てられていますが、構えずに味わえる親しみもあります。
サービスは行き届いていながら堅苦しくなく、料理の流れを妨げません。ソムリエは幅広いワインリストから各皿に合う銘柄を選び、無理のないペアリングを組み立ててくれます。ワインに詳しくなくても安心して任せられる、ほどよい距離感の接客でした。
「オーセンティック」コースを実食
この夜に選んだのは「オーセンティック」コース。シャンパーニュで乾杯した後、アミューズが運ばれます。葉巻をかたどった一品は、海を思わせる風味のなかにサーモンを忍ばせたトロンプルイユ。精巧な見た目だけに終わらず、口にしたときの意外性もありました。黒い石に見立てた小さなフィンガーフードも、見た目と味の思いがけない違いが楽しい一品です。
最初の皿は、国産アボカド、甘えび、和梨、キャビアの組み合わせです。なめらかなアボカドに、甘えびの甘みと和梨のみずみずしさ、キャビアの塩気が重なります。合わせた白ワインは「ファルツ アウス デン ラーゲン リースリング、アー クリストマン」。複雑さがありながら軽快で、料理との相性も申し分ありませんでした。
新潟県産八色椎茸のファルシーには、牛頬煮込みと澄んだコンソメを合わせています。椎茸の深い香りに、ほろりとほどける牛頬肉がよくなじみ、余韻は穏やか。続く北海道産2年熟成メークインのカッペリーニには、産地直送の鮮魚とセロリが添えられています。技法の面白さを前に押し出すのではなく、それぞれの持ち味を鮮明に見せた一皿。この夜、私が最も心を動かされた料理です。
主菜は、静岡県北山農園の野菜と近江鴨。鴨の火入れは正確で、さまざまな表情を見せる野菜とともに食べ進めても、重さを残しません。ワインは、ローヌの赤「サン ジョセフ ポワヴル エ ソル、フランソワ ヴィラール」。奥行きのある香りが、鴨の風味によく寄り添います。
デザートは、愛媛県産温州みかんとアプリコットのソルベで軽やかに始まります。続く青森県産林檎のタルトタタンは、フランスの定番菓子を現代的に組み直したもの。林檎の凝縮した甘酸っぱさにエピスアイスを添え、貴醸酒を合わせることで、親しみのある菓子に奥行きが生まれています。最後の小菓子にも日本らしい風味が取り入れられ、コースの主題は最後までぶれません。
食事を終えて
コラージュの魅力は、フランス料理の確かな技法と日本の食材が、一皿のなかで無理なく結びついていることです。発想には大胆さがある一方、味の焦点は明快。行き届いたサービスやソムリエの的確なペアリング、東京を見渡す空間も、食事の流れによくなじんでいました。季節を変えて、もう一度訪れたいレストランです。
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