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築120年を超える京町家のフレンチ「KOGA」

Florence Consul
Florence Consul ·
Restaurants 京都 Michelin

KOGAがあるのは、観光客の多い一帯から少し離れた今出川の住宅街。築120年を超える京町家を改修した、古賀 隆稚シェフのミシュラン一つ星フレンチです。フランス料理の技法を土台に、日本の旬を端正に映した料理が並びます。食材の持ち味と香りを丁寧に重ねながら、皿には過剰な飾りがありません。照明を落とした店内もサービスも控えめで、自然と料理に意識が向きます。

築120年の京町家を生かした空間

小川通を今出川通から少し上がった場所に立つKOGA。伝統的な外観を残しながら改修した店内は、白とベージュを基調とした明るい空間です。手仕事を感じる素材や無駄のない設えに、天板を滑らかな革で仕上げたテーブルがよくなじんでいます。到着後は広いウェイティングスペースでひと息ついてから客席へ。オープンキッチンのほか、約3,000本を収めるワインセラーを備えた個室もあり、落ち着いた昼食にも会食にも使いやすい造りです。

@KOGA
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フランスで研鑽を積んだ古賀 隆稚シェフ

福岡県出身の古賀 隆稚シェフは、辻調グループ フランス校を卒業後、東京・恵比寿の「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」で料理人としての基礎を築きました。その後フランスへ渡り、クールシュヴェルの「ル・シャビシュー」、カンヌの「ヴィラ・アルシャンジュ」、パリの「ルドワイヤン」など、星付きレストランで経験を重ねます。2016年には、フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンクの「Le Cinq(ル・サンク)」で、日本人として初めて副料理長とメニュー開発を任されました。クリスチャン・ル=スケールのもと、味だけでなく香りの重なりから料理を考える視点を深めたといいます。帰国後はフォーシーズンズホテル京都の料理長を務め、のちにKOGAを開業。フランスで磨いた技術を軸に、日本の季節を自然に取り込んでいます。

@KOGA
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素材の輪郭を引き出す料理

古賀シェフにとって、レストランは料理だけで完結するものではありません。空間とサービス、客とスタッフが共有する時間も、その一部として捉えています。使うのは朝採れの野菜、生産者から直接届く魚、吟味した肉、職人が焼くパン。それぞれの持ち味を損なわないよう火を入れ、温度や食感を重ねます。炭火とソースの香り、ワインとのつながりまで見通した皿からは、生産者への敬意とフランス料理の確かな技術が伝わってきます。

@KOGA
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8〜10皿のおまかせランチ

ランチは、デザートまで含めて8〜10皿ほど。10〜12皿のディナーより軽やかな構成で、KOGAの料理をひと通り味わえます。私たちが訪れた日のコースは、一皿ごとの間合いが心地よく、技巧をことさらに見せることなく、味の流れが自然につながっていました。

アミューズは、一口ごとに異なる造形と味が用意されています。葡萄の枝を敷いた器には、温かなコーンのフリット。薄い衣で鴨のフォアグラとトウモロコシを包み、甘みとコクの釣り合いを取っています。パイナップルとジンジャーソーダを思わせる、ノンアルコールカクテル仕立ての一口は、後味を軽くする役割。ガラスの台には、鴨の生ハムとチーズを合わせたそば粉のショートブレッドが置かれ、香ばしさ、まろやかさ、塩気が小さな一片に収まっています。帆立のタルトレットは、ヨーグルト、ライム、キュウリを合わせたタルタル仕立て。帆立のみずみずしさに、ライムとキュウリの涼やかな香りが重なります。

続くコーンスープは、鮮やかな黄色が映える小ぶりのカップで供されます。材料は京都産のトウモロコシ、水、塩の3つだけ。なめらかなスープに軽く焦がした粒を浮かべ、トウモロコシの甘みをまっすぐに引き出しています。余計なものを加えていないぶん、夏のトウモロコシの濃さがよくわかる一杯でした。

温かい季節野菜のサラダは、ガラス皿に小さな庭を描くKOGAの看板料理です。中央には鷹峯をはじめ京都で採れた野菜が集まり、柔らかな葉、ラディッシュ、食用花、歯触りを残したもの、やわらかく火を入れたものが細やかに配されています。周囲には、ニンジン、トウモロコシ、ズッキーニ、アーティチョーク、カボチャ、ブロッコリー、サツマイモのピュレ。温かなタマネギのソースが甘みと奥行きを補います。温度も調理法も異なる野菜を組み合わせるたび、青々とした風味や穏やかな甘み、凝縮した旨みが順に現れました。

野菜の次は、スズキ、ズッキーニ、サフランの一皿です。天ぷらにしたスズキは、衣が薄く香ばしく、内側の白身はしっとり。緑と黄色のズッキーニを長いリボン状に重ね、鮮やかなトマトのブリュノワーズを添えています。点々と置かれたサフランソースの穏やかな香りに、バジルソースの青々しさが続きます。大きな白皿の余白を生かし、食感と色の対比をすっきりと見せていました。

京都産の鶏肉には、インゲンとシャスールソースを合わせています。香ばしく焼いた皮目の内側は瑞々しく、艶のある濃い色のソースが鶏の旨みを支えます。インゲンは鮮やかな色とほどよい歯触りを保ち、盛り付けにも軽さを与えていました。ところどころに置かれた黄金色の小さな付け合わせは、餅のような柔らかさのなかにかすかな歯ごたえがあり、意外な食感を残します。

デザート前には、山羊乳、タイム、ライムを使った冷たい一皿が供されます。なめらかに仕立てた山羊乳に、ライムとレモンのグラニテを重ねたもの。柑橘の酸味とほろ苦さが乳のコクを引き締め、透き通る薄い飴がぱりっとした食感を加えます。最後にタイムの青い香りが残り、口の中がすっきりと整いました。

次は、パッションフルーツと杏仁のスフレ。縁が波打つ白皿の中央に、銅製の型に入った黄金色のスフレが熱々のまま運ばれてきます。表面には砂糖が薄くまぶされ、その奥のパール調のスプーンには黄色と白の小さなキューブ。一見、独立したミニデザートのようですが、スフレに入れて混ぜて味わいます。すると、ココナッツ、マンゴー、パッションフルーツ、パイナップルにアーモンドの香りを効かせた冷たいソースへと変化。温かなスフレの柔らかさに南国果実のきりっとした酸味が重なり、温度差も明快でした。

最後のプティフールにも、細かな趣向があります。金属の型に入ったまま供される小さなフィナンシェは、縁が香ばしく、中にはバターの風味がしっかり残ります。粉雪をまとったような傘のチョコレートのキノコは、器の中に小さな森を描く仕立て。隣の箱には、淡い色と幾何学的な形が目を引く和の砂糖菓子が並びます。飲み物は透明なカップで供され、夫は花の香りがふくらむローズティーを、私は清涼感のあるハーブティーを選びました。プティフールをつまみながら、食後の時間をゆっくり過ごしました。

KOGAのランチを終えて

KOGAでは、築年を重ねた京町家、控えめで的確なサービス、フランス料理の技法、日本の季節感が競い合わず、ひとつの流れに収まっていました。アミューズからプティフールまで軸にあるのは、素材の味と香りの組み合わせ。技巧は明確でも押しつけがましさがなく、コースは最後まで自然に進みます。京都で、静かに料理と向き合える一軒です。

連絡先

KOGA

230 Nakaogawacho, Kamigyo-ku, Kyoto, 602-0053, Japan
KOGA
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