フォーシーズンズホテル京都宿泊記|庭園を眺め、東山を歩く
京都・東山にあるフォーシーズンズホテル京都。現代的な館内に古都の伝統を取り入れ、池庭の積翠園を身近に感じながら静かに過ごせるホテルです。私たちはここを拠点に京都の寺社を巡り、ホテルに戻ってからは、緑を眺めてくつろいだり、食事や茶道を楽しんだりして過ごしました。
東山散策の拠点に
周辺には町家が並ぶ路地や寺院、工芸品の店が点在し、歩いて巡るのに向いています。ホテルで自転車を借りることもできます。世界遺産の清水寺までは徒歩15分。祇園や京都国立博物館、三十三間堂へも足を延ばせます。新幹線が発着する京都駅と、店が集まる河原町はいずれも車で約10分。観光や買い物から戻り、街の賑わいを離れてひと息つける立地です。
積翠園を囲む建築と京都の工芸
久米設計が手がけた建物は、12世紀に起源を持つ池庭、積翠園に沿って建っています。池に浮かぶ島や木々の向こうには山並みも見えます。これほど大きな歴史ある庭園を敷地内に持つホテルは珍しく、京都の街なかにいながら、リゾートで過ごしているように感じました。
到着してまず目に入るのは、光井純 アンド アソシエーツ 建築設計事務所が手がけた、和傘を思わせる車寄せ。館内の内装はハーシュ・ベドナー・アソシエイツが担当し、京都の工芸をさりげなく取り入れています。クッションの生地は1688年創業の細尾によるもので、革張りのエルメスの人力車も目を引きます。レストランの天井は4階分の高さがあり、光が差し込む室内は開放的です。
積翠園の小径は、大小ふたつの池や島を巡るように続いています。歩いていくと塔や、停泊する帆船を表した石組、史料をもとに復元された滝が見えてきます。庭園の遺構である石橋の上には、保護のためにガラスの橋を設けてあり、古い橋の姿を透かして眺められます。庭を望むテラスでは朝食をとり、日が落ちてからはシャンパンを飲みながら過ごすこともできます。
プレミアヘリテージガーデンルームに泊まる
客室は全180室で、ゲストルーム110室、2ベッドルームプレジデンシャルスイートを含むスイート13室、ホテルレジデンス57室。室内は落ち着いた色調を基調に、和紙の照明や襖、漆器を配し、深みのある色のファブリックを合わせています。濃色の木の床に、すっきりとした家具がよく馴染み、窓からは庭園、中庭、または街を望めます。スイートはリビングと寝室が分かれ、レジデンスには専用キッチンがあるため、家族旅行や長期滞在にも向いています。
私たちが泊まったのは、52㎡のプレミアヘリテージガーデンルーム。大きな窓いっぱいに積翠園が広がり、朝、目覚めてすぐに眺める庭の景色だけでも、この客室を選んでよかったと思えました。キングサイズのベッドのほか、コーヒーテーブルを添えたソファベッド、デスクと椅子2脚があり、室内でくつろぐにも十分な広さです。大理石と御影石を使ったバスルームには、大きなバスタブと独立したレインシャワー。厚手のタオル地のバスローブも着心地がよく、ディプティックのバスアメニティも気に入りました。控えめな内装で、自然と窓の外へ目が向きます。
朝食は和洋のメニューから
朝食はエンバ・キョウト・グリルで、品数豊富なビュッフェと、注文を受けてから作る料理を組み合わせていただきます。京都きぬひかり米のふりかけおにぎりには、ポーチドエッグと白味噌・柚子のソース。トリュフ風味の温泉卵は、ほうれん草のクリーム仕立てと合わせています。洋食では、ハムかスモークサーモンを選べるエッグベネディクトや、好みの具材で作るオムレツ、シードを散らしたアボカドトーストが揃います。甘いものなら、ベリー添えのフレンチトーストや、ふんわり焼いたブルーベリージャパニーズパンケーキも。和朝食は、その日の焼き魚、卵焼き、季節の小鉢、和牛の煮込みに、ご飯、味噌汁、漬物を合わせた献立です。飲み物は京都の緑茶やほうじ茶、フォーシーズンズホテル京都オリジナルブレンドコーヒーから選べます。
鮨 銀座おのでらの江戸前鮨
館内の鮨 銀座おのでら フォーシーズンズホテル京都店では、料理長の久保卓弥による季節のおまかせをいただけます。大間のマグロをはじめ、海の幸で知られる青森県出身の久保料理長。京都の市場だけでなく、東京の豊洲市場や北海道からも食材を取り寄せています。STRICKLANDが設計した店内には、樹齢400年の国産檜を使った10席のカウンターがあり、職人の手仕事を間近に見られます。落ち着いて食事をしたいときには、2室ある個室も選べます。
エンバ・キョウト・グリルで夕食を
エンバ・キョウト・グリルでは、和牛や魚介、地元の旬の野菜を使った料理が揃います。肉のドライエイジングや炭火焼きに力を入れ、素材の旨味を引き出しています。店内からも積翠園を眺められますが、広々としたテラスでは池のすぐそばで食事ができます。季節ごとに移ろう緑を眺め、夜はキャンドルの灯りのもとで夕食をいただける場所です。
夕食は、胡麻をまとわせたカリフラワーの炭火焼きから。ミントヨーグルトと胡麻ソースが添えられています。本鮪中トロのタルタルは、包丁で刻んだ中トロに柑橘、アボカド、柚子胡椒を合わせた一皿。九条葱、きぬひかり米、キャビア入りのロブスタースープに続き、メインは国産牛フィレをいただきました。付け合わせはトリュフフレンチフライと農園野菜のグリルです。デザートには丹波栗のライスプディングを。バニラアイスクリームとポルチーニの泡を合わせた、秋らしい一皿でした。このレストランには数か月前にも訪れていて、そのときの食事については、こちらで紹介しています。エンバ・キョウト・グリルの炭火料理を味わう。
SEYのカクテルと居酒屋風の小皿
ラウンジバーのSEYは、居酒屋のように気軽に集える場所へとコンセプトを一新しました。こぢんまりとした落ち着く店内で、日本の食材や文化をヒントにしたカクテルを楽しめます。夫が選んだスモーキーオールドファッションドは、国産ウイスキーに山椒、ビターズ、自家製シナモンメープルシロップを合わせたもの。仕上げには桜の木のスモークを使い、その香りは京都のお香を思わせました。私が頼んだのはゆずミュールです。神蔵の柚子酒に柑橘風味のウォッカ、桃のジュース、カモミールの香りを移した柚子ジュースを合わせ、炭酸を含ませた自家製の生姜のエスプーマを加えています。
カクテルのお供には、居酒屋の定番をもとにした小皿をいくつか分け合いました。きゅうり、赤玉ねぎ、奈良漬け、和がらしを使ったポテトサラダや、サクッと揚がったいかのフリット。フリットにはハラペーニョ柚子ソースが添えられ、牛カツサンドには和がらしが使われています。9時間ローストのポークリブは、甘辛だれと七味唐辛子でいただきました。最後に選んだケーキのロイヤルは、アールグレイのクリームとガナッシュ、マスカルポーネムース、アーモンドスポンジを組み合わせています。小皿をいくつか頼めば、バーで夕食を済ませることもできそうです。
池畔の楓樹で抹茶と日本酒を
積翠園の小径を進み、橋を渡った先に、茶室ラウンジの楓樹があります。職人の技をよく知る建築家、山本良介が手がけた空間は、数寄屋造りで、侘び寂びの趣があります。京都産の檜を使い、床には伏見の土を用いています。和傘を通して届く光もやわらかく、温かみのある室内です。大きなガラス戸のすぐ向こうは池。手作りの菓子と抹茶をいただいたり、夕暮れのテラスで京都の日本酒やシャンパンを飲みながら、水面に映る景色を眺めたりできます。
楓樹に隣接する積翠亭は定員5名の茶室で、体験の際は貸し切りで利用します。私たちはここで茶道を体験しました。先生に教わりながら、抹茶を点て、いただくまでの所作を一つひとつたどると、それぞれの動きに意味があることに気づきます。池庭の静かな一角で手を動かし、自分と向き合うひとときは、京都を知る機会にもなりました。
プールとスパで体を休める
心身の調和を象徴する円相に着想を得たスパは、2フロアにわたる京都でも最大級のウェルネス施設です。20mの屋内プール、2つのジェットバス、日本式のお風呂、サウナ、リラクゼーションラウンジを備え、フィットネスセンターは24時間利用できます。トリートメントルームは7室で、うち2室は専用バスタブ付きのカップルスイート。京都の伝統や季節の素材を取り入れた施術に加え、竹を使うマッサージや、旅の疲れをほぐすソダシのトリートメントも選べます。フェイシャルには、コトシナ、ビオロジック ルシェルシュ、タッチャの製品を使っています。
滞在を振り返って
観光から戻ったあとも、京都とのつながりを感じながら快適に休めることが、この滞在のよさでした。
気に入った点
- 客室に限らず、レストランでも庭園が身近にあること。
- プレミアヘリテージガーデンルームの居心地のよさ。
- 茶室を貸し切り、落ち着いて先生に教わることができたこと。
改善を望む点
- エンバ・キョウト・グリルの内装には、手を入れてほしいと感じました。今後数か月以内に改装が予定されています。
宿泊料金の目安
- 2026年9月のプレミアヘリテージガーデンルームの宿泊料金は、1泊1,800ユーロ。
連絡先
空室を確認Four Seasons Hotel Kyoto