炭火で素材を際立たせる、エンバ・キョウト・グリル
フォーシーズンズホテル京都のエンバ・キョウト・グリルは、炭火料理を軸とするステーキハウスです。厨房を率いるのは、シェフのマルコ・フレニャン。地元の食材を見極め、素材ごとに火入れを変えながら持ち味を引き出します。積翠園に面したテラスも、この店を訪れたくなる理由のひとつ。庭を眺めながら、落ち着いて料理と向き合えます。
積翠園を望む東山のホテル
フォーシーズンズホテル京都が立つのは、寺社が点在する東山です。石畳の道や古い町並みが残り、歩くほどに季節の移ろいと京都の歴史を身近に感じられます。館内へ入ると、街の賑わいは遠のき、約800年の歴史を持つ池庭「積翠園」を中心に穏やかな空気が流れます。市内中心部へ出やすく、祇園もほど近い立地。庭を眺めて静かに過ごす日にも、街歩きを楽しむ拠点にも使いやすいホテルです。
池庭に沿うテラス席
店内からも積翠園を広く見渡せますが、庭との距離がさらに近くなるのが屋外のテラスです。2025年に全面改装され、水辺の気配を感じながら食事ができる場所になりました。スペインのブランド、Kettal(ケタル)の現代的な家具も、周囲の緑にすっきりとなじんでいます。昼下がりにゆっくり過ごすにも、夕刻に人と集うにも心地よい空間です。
桜の木炭で引き出す素材の持ち味
料理の要となるのは、ジョスパーグリルと桜の木炭を使った火入れです。熟成肉や魚介、旬の野菜に香ばしい焼き目を付け、内側の旨味と水分はきちんと残します。ドライエイジドビーフからエンバ特製和牛バーガーまで選択肢は広く、日本の食材を現代的なグリル料理へ無理なく落とし込んでいます。コースとアラカルトのほか、サンデーブランチやアフタヌーンティーもあり、時間帯によって店の表情が変わります。
シェフ、マルコ・フレニャンの歩み
家族経営のイタリアンレストランで育ったマルコ・フレニャンは、幼い頃から旬の食材と料理に親しんできました。ミシュラン星付きレストランで料理人としての歩みを始め、その後はシンガポールのレストランやホテルで約10年にわたり経験を積みます。2024年に京都へ移り、2026年2月、エンバ・キョウト・グリルのシェフ・デ・キュイジーヌに就任。炭火と低温調理を使い分け、土地の食材が持つ個性を素直に伝える料理を手がけています。
ランチコースを実食
ランチの最初にいただいたのは、本鮪中トロのタルタル。手切りの中トロを細長く盛り、柑橘とアボカドを添えた一皿です。柚子胡椒の穏やかな辛味に、焦がし山葵バターの香ばしさとコクが重なります。マイクログリーンの軽い歯触りも、中トロのなめらかさによく合っていました。
続くシュリンプカクテルには、火を入れた車海老を使用。レタスや薄切りのラディッシュなど、歯ざわりのよい野菜を囲むように盛り付けています。エンバのオリジナルソースが海老の甘味をほどよく引き締め、すっきりと食べられる前菜でした。
オニオンスープは、飴色になるまで炒めた玉葱の甘味がじんわりと広がる一品です。自家製サワーブレッドのクルトンが食感を添え、表面のコンテチーズは香ばしく焼かれています。味に厚みはありながら重さを残さず、炭火料理へ移る前の一皿としても収まりのよい仕立てでした。
メインは150gの国産牛フィレ。表面には格子状の焼き目がくっきりと入り、内側には肉汁が保たれています。小さな金色のソースパンで添えられた黒胡椒ソースは、牛肉の味を引き締める辛さ。農園野菜のグリルと、ほのかに燻香を残すなめらかなポテトピュレも、付け合わせとしてよく釣り合っていました。
デザートの「カフェ・ウイスキー」は、ダークチョコレート、キャラメル、コーヒー、ウイスキーを重ねた大人向けの一皿です。ダークチョコレートとキャラメルのムースに、柔らかな口当たりのコーヒームースを合わせています。キャラメルとウイスキーのクランチが歯触りと香りを添え、濃密ながら甘さに偏らない仕上がりでした。
ストロベリーティラミスは、定番のココアとコーヒーに代えて、フレッシュないちごを使った軽やかなアレンジです。マスカルポーネのクリーミーな層に、みずみずしい果肉といちごソースを重ね、ビスケットのさくっとした食感を加えています。トップのドライストロベリーにはほどよい酸味があり、食後にも重さを感じさせませんでした。
総評
エンバ・キョウト・グリルでは、炭火の香りを必要以上に強調せず、肉や魚介、野菜に応じて火を使い分けています。マルコ・フレニャンの料理は素材の持ち味が分かりやすく、現代的な技法も前に出すぎません。積翠園に面したテラスは水辺との距離が近く、料理と景色のどちらにも落ち着いて向き合いたい日に選びたい一軒です。
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空室を確認EMBA KYOTO GRILL