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料理とアートをめぐる、W大阪「鉄板焼 MYDO」の一夜

Florence Consul
Florence Consul ·

W大阪の「鉄板焼 MYDO」では、光と影のコントラスト、彫刻のような間仕切り、黒田征太郎の作品が料理の背景をつくる。華やかさのなかにも、日本の美意識を感じさせる余白がある空間だ。地元の食材を生かし、大阪の定番料理にひねりを利かせたメニューにも、この店らしい軽妙さが表れている。

大阪の熱気を映すW大阪

日本初のWホテルとして開業したW大阪は、街の勢いを大胆な色彩とデザインに映し出している。御堂筋に面した漆黒の外観は安藤忠雄がデザインを監修。心斎橋や道頓堀へも足を延ばしやすい。全337室の客室には大きな窓から光が入り、紫のアクセントが都会の眺めによく映える。レストランやバーには地元の人も訪れ、プールとスパでは街の喧騒からいったん離れられる。立地のよさと快適さに、Wらしい自由な空気が加わった、大阪を歩く拠点にしやすいホテルだ。

© MYDO
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光と影のなかで味わう「鉄板焼 MYDO」

W大阪の1階にある鉄板焼 MYDOのインテリアは、森田恭通率いるGLAMOROUSが手がけた。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』に通じる光の捉え方を、現代のダイニング空間へ落とし込んでいる。障子を思わせる全長約40メートルのアートパネルは、照明のリズムによって昼は穏やかに、夜は躍動的に表情を変える。ワインボトルの曲線を思わせる艶のある黒い壁面が奥行きを生み、行灯のような間仕切りから自然光や照明がやわらかく漏れる。

© MYDO
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随所にのぞくのは、大阪らしい快活さとユーモアだ。黒田征太郎が5日間かけて描き上げた作品には、LOVE & Peaceへの思いが力強い線で刻まれている。白と金を基調にした明るいエリア、黒と銀が印象を引き締めるエリア、落ち着いて食事ができる個室があり、選ぶ席によって店の見え方も大きく変わる。

© MYDO
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大阪の定番を鉄板料理に読み替える

鉄板焼 MYDOの料理は、大阪の食文化を軸に、馴染み深い味を現代の一皿へと読み替えている。黒毛和牛をはじめとする食材を鉄板で焼くだけでなく、大阪で生まれた割烹の発想も取り入れる。金箔をあしらったお好み焼きや黒毛和牛ひつまぶしといったシグネチャーには、親しみのある料理を意外な姿で見せる面白さがある。目の前で迷いなく進む調理も見どころのひとつ。150種以上のシャンパーニュをそろえたワインリストから、料理に合わせて選ぶ楽しみもある。

© MYDO
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「MIDOU」コースでたどる一夜

ディナーは、ビルカール サルモンのシャンパーニュから始まった。グラスを傾けて店内を眺めていると、シェフが鉄板の前に立ち、「MIDOU」コースの支度に入る。食材が焼かれ、切り分けられ、一皿ずつ形になっていく。静かで無駄のない手元を眺める時間も、この店での食事に含まれていた。

最初は、イクラを添えた炙りサーモンの寿司。表面だけを香ばしく炙ったサーモンが口の中でほどけ、ほのかな燻香にイクラの塩味が重なる。続く牛タンロールは、小さなバゲットを思わせる意外な姿だった。薄く香ばしい皮で柔らかな牛タンを包み、屋台料理のような気軽さを、緻密な一品に仕立てている。

ヴィーガン餃子は、薄く焼いた皮の中に野菜の風味を生かした餡を包んだ、軽やかな一品。濃厚な皿が続くコースに、ほどよい間をつくっていた。松茸の出汁に浮かぶたこ焼きは、柔らかな生地に出汁と香りが染み込み、ひと口で秋を感じさせる。

この夜の主役は、とくしま三ツ星ビーフのサーロインステーキだった。肉汁を逃さない火入れで、柔らかな肉質と芯のある旨味を引き出している。焼き野菜には心地よい歯触りが残り、鉄板でつけた香ばしさが肉の味を支えていた。

カナダ産オマール海老のお好み焼きは、ひときわ目を引く一皿だ。柔らかな生地にオマール海老の身と香ばしいトッピングを重ね、仕上げには金箔をあしらう。続く豚角煮の炒飯は、米粒の表面を香ばしく焼き、コンフィを思わせるほどほろりとほどける豚肉を合わせていた。親しみのある味に戻ってくる構成で、締めの一皿として満足感がある。

デザートは、トリュフクリームのどら焼き。ふんわり焼いた生地に、濃厚で香りの深いクリームを挟んでいる。甘さの中に塩味が差す大胆な組み合わせで、最後にもう一度、MYDOらしいひねりを見せた。

総評

鉄板焼 MYDOは、華やかな意匠のなかにも、食事へ意識を戻せる落ち着きがある。私がとりわけ面白いと感じたのは、端正で軽やかなヴィーガン餃子と、金箔をまとったカナダ産オマール海老のお好み焼きの鮮やかな対比だった。食材の持ち味と大阪らしい遊び心を、過度に誇張せず一つのコースに収めている。この店を目当てに心斎橋へ足を運ぶ理由は十分にある。

MYDO

4-chōme-1-9 Minamisenba, Chuo Ward, Osaka, 542-0081, Japan Google マップで開く
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