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登大路ホテル宿泊記 興福寺を望むスイートに泊まる

Florence Consul
文 Florence Consul ·

鹿が歩き、古い寺院が点在する奈良。今回、私たちは奈良公園の縁に佇む登大路ホテルに滞在しました。

奈良公園を拠点に、古都の寺社を訪ねる

登大路ホテルは奈良の歴史ある地区に位置し、鹿が自由に歩く奈良公園に隣接しています。世界遺産の興福寺もすぐそばです。独立系のホテルで、客室は全13室。東大寺の大仏や春日大社を訪ねた後は、人目を気にせず静かに休めます。近鉄奈良駅から徒歩3分と便利で、京都へは約35分、大阪の難波へは約40分でアクセスできます。

@Noborioji Hotel
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音楽と本に親しむ、小さなホテル

ガラスとスチールを使った現代的な外観に対し、館内では木の温もりが感じられます。2008年の開業後、全面改装を経て2022年11月に再オープン。2023年にはルレ・エ・シャトーに加盟しました。ホテルが大切にしているのは、食、音楽、歴史。内装は控えめです。無垢材をはじめとする自然素材と明るく穏やかな色調が、窓の外の奈良公園とよくなじんでいました。地階の広いライブラリーには、吟味して選ばれた文学作品や写真集、レコードが並びます。音楽を聴きながら、ジェイン・オースティンやハーマン・メルヴィルの本を開くのもよさそうです。オーナーの音楽への思いも伝わってきます。文化やデザイン、自然に関心のある人なら、館内で過ごす時間も楽しめそうです。細部への気配りは内装だけでなく、滞在中の何気ない応対からも感じられました。

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興福寺を眺めるスイート

客室は4つのフロアにわたり、スイートルームが3室、デラックスルームが8室、コネクティングルームとシングルルームが各1室あります。白を基調とした客室は、クラシックな趣を残しながら、現代的な使いやすさも備えています。デラックスルームの広さは40〜43㎡。大きな窓から光が入り、興福寺と奈良公園の木々が季節ごとに色を変える様子を眺められます。

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私たちが選んだスイートルームは、ホテルで最上位の客室カテゴリーです。広さは70〜85㎡で、リビング、デスクを備えた広い寝室、バスルームがあり、ひとつの住まいのようにくつろげます。大きな窓からも、ゆったりしたバルコニーからも興福寺が見え、何度眺めても飽きませんでした。足元には毛足の長いクリーム色のカーペット。地元の生産者とともにつくった吉野杉の家具が置かれ、ベッドは寝心地のよいシモンズ製です。無料のミニバーには飲み物やスナック、お茶が揃い、リビングで過ごすときに重宝しました。バスルームには深い浴槽とレインシャワーがあり、ドライヤーはレプロナイザー 7D Plus。宇陀でつくられた入浴用ハーブや、柚子と山椒が香るバスアメニティにも、奈良らしさが感じられます。

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和朝食も、自家製クロワッサンから

朝食は和食と洋食の2種類から選べます。私たちが選んだ和食は、サラダと自家製クロワッサンから始まりました。このクロワッサンは、フランスの評判のよいベーカリーにも引けを取らないおいしさ。続いて、お粥、漬物、甘酒、白味噌を使った豆腐料理が運ばれてきます。洋食は卵料理やクロワッサンに、おいしいグラノーラ、搾りたてのオレンジジュース、プレーンヨーグルトを組み合わせた朝食です。

ル・ボワで味わう奈良と北海道の食材

レストラン ル・ボワの料理長は仙石耕一。奈良と北海道の旬の食材を使い、フランス料理の伝統的な技法に、日本の食材を生かす工夫と、炭火による細やかな火入れを重ねています。古都の歴史を身近に感じる立地で、ダイニングにも木の温もりがあります。地階のセラーにはワインと日本酒が1,000銘柄以上揃い、ソムリエにペアリングをお願いすることもできます。室内では、スタインウェイ&サンズのコンサートグランドピアノD-274が目を引きました。月に一度開かれるクラシックコンサートは、ヨーロッパの邸宅で開かれた音楽サロンを思わせます。

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ディナーは、北海道のシャルキュトリーから。目の前で薄く切り分けられるハムと、細かく脂が入った熟成ソーセージに、淡いピンク色のピクルスが添えられます。切り分ける様子を眺めているうちに、食卓の空気も和らぎました。一枚一枚の薄さにも、扱いの丁寧さがうかがえます。部位ごとの食感を楽しみ、合間にピクルスを口にすると、その酸味で脂の余韻がすっきりします。

続いて運ばれたのは、脚付きのグラスに入った冷たいとうもろこしのスープ。光を受けて黄金色に見える、なめらかなスープです。装飾を抑えた仕立てで、とうもろこし本来の甘みがよくわかります。日本の夏になじみ深い食材を、冷製スープの爽やかさとともに味わいました。

枝豆のフリットは、絡み合う褐色の小枝の上に置かれていました。鮮やかな緑がのぞく小さなフリットは、凹凸のある衣が見るからにさくっとしていそうです。自然の一場面を小さく切り取ったような盛り付けでした。

自家製麺を合わせた冷製ウニのカクテルから、魚介の料理が続きます。小さなガラスの器には、黄金色のソースをまとった細いリボン状のパスタと、たっぷりのオレンジ色のウニ。飾りを抑えた一皿で、自家製麺とともに、ウニの新鮮な磯の風味を味わえます。

次は、アサリ、ホッキ貝、アオリイカと水なすの一皿。広い白皿の中央に魚介と、濃い紫色の皮を残した水なすを盛り、若い緑の葉を重ねています。周囲には淡い黄色のソース。貝の真珠のような色合いとハーブの緑が、余白のある皿によく映えていました。

穴子とフォアグラのソテーには、舞茸が添えられます。真珠色の穴子、こんがり焼き色のついたフォアグラ、茶色く焼けた舞茸と、秋を思わせる落ち着いた色合いです。舞茸は花びらのように縁を広げ、立体的に盛られていました。濃い色の艶やかなソースを添え、仕上げに緑の葉を数枚。

炭火焼きのカワハギが載るのは、表面にかすかな凹凸のある白い大皿です。真珠色の身には焼き目がつき、その下には、トマトとバターを使った鮮やかなオレンジ色のソース。上に添えられた茎付きの緑の葉が瑞々しく、すっきりした盛り付けに高さが出ています。

軽い口直しの後は、トリュフを詰めたウサギ料理。薄いベーコンで巻いたメダイヨンを切ると、詰め物にトリュフのかけらが見えます。土を思わせる香りとウサギ肉の穏やかな味わいに、濃い色の艶やかなペッパーソースの辛みが効いていました。付け合わせは、薄切りのじゃがいもを重ねて表面をこんがり焼いたグラタン・ドフィノワと、ほのかな苦みのあるアンディーブのグラタン。クラシックな組み合わせで食べ応えがあり、どこかほっとする味わいです。

チーズはボードから好みのものを選べます。私が選んだのは、象牙色のコンテ、鮮やかなオレンジ色のミモレット、細かな青い筋が入った北海道産のブルーチーズ。フルーツ入りのパン一切れと数種類のドライフルーツ、少量の蜂蜜が添えられました。色合いだけでなく、食感や風味の違いを楽しんでから、デザートをいただきます。

デザートは、ライムとマンゴーのソルベにホワイトチョコレートのガナッシュを合わせたもの。薄切りのマンゴーで周囲を囲み、ガナッシュを花形に絞った姿は、小さな箱のようです。皿の中央で、鮮やかな黄色が目を引きました。口の中で溶ける冷たいソルベに、やわらかな果実とクリーミーなガナッシュ。食感の違いも楽しく、ライムの酸味がマンゴーの甘みを引き締めていました。ホワイトチョコレートのまろやかな乳の風味も、果実の余韻とともに残りました。

食後のお茶には、木のトレーに載せたプティフールが添えられました。その後に登場したのがクラプフェン。イースト生地を丸くふくらませて揚げた小さなドーナツで、外はきつね色、中はやわらかです。オーストリアをはじめドイツ語圏で親しまれ、一般にはジャムやクリームを詰める伝統菓子。丸く素朴な姿も味わいも親しみやすく、食事の最後に肩の力が抜けました。

バーで一杯、三条通りで食事を

12席のバーは17時から23時まで営業しており、一日の終わりに落ち着いて飲める場所です。また、ホテルから徒歩約10分、春日大社へ続く三条通りには、オーセンティックテーブル タバーンがあります。気軽にフランス料理を楽しめる店で、奈良と北海道の厳選食材を炭火で焼き上げ、ソムリエが選んだワインとともに味わえます。

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滞在を終えて

奈良を歩く時間と同じくらい、登大路ホテルに戻るのも楽しみになりました。小さな宿ならではの距離感が心地よく、古都を自分のペースで訪ねたいときに、また選びたいホテルです。

よかった点

  • 落ち着いて過ごせる規模と、散策の拠点にしやすい立地。
  • 広いスイートからの眺め。寺や木々のほか、眼下に鹿が現れることも。
  • 朝食とレストランで味わった食材の良さと、行き届いたサービス。

気になった点

  • 今回の滞在では、気になる点はありませんでした。

宿泊料金

  • スイートは1泊1,200ユーロ(2026年7月)。

連絡先

Noborioji Hotel

〒630-8213 Nara Prefecture, 40-1 Noborioji-cho, Nara City,
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