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箱根・金乃竹 仙石原で静かに過ごす大人の滞在

Florence Consul
Florence Consul ·

箱根・仙石原の高台に佇む金乃竹 仙石原は、わずか9室の大人専用旅館。全室に専用露天風呂を備え、食事も客室でいただくため、滞在全体にほどよいプライベート感がある。かぐや姫の物語を思わせる空間、部屋でゆっくり向き合う料理、必要なときにすっと届く控えめなサービス。華やかに飾り立てるよりも、箱根の時間に身を置くための余白が整えられている。

9室だけの大人の宿

仙石原の穏やかな高台にある金乃竹 仙石原は、かぐや姫の物語をモチーフにした、客室数わずか9室の旅館。すべてのスイートに専用の露天風呂があり、ほかの宿泊客と顔を合わせる場面はごく限られている。食事は客室に運ばれるため、滞在の流れは自然とプライベートなものになる。外の喧騒から少し離れ、ふたりで静かに過ごしたい大人に向いた一軒だ。

@Kinnotake Sengokuhara
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姫スイートで過ごす

金乃竹 仙石原の客室は全9室。それぞれ意匠と間取りが異なり、広さは89〜136平方メートル。ワンフロアタイプとメゾネットタイプがあり、いずれもゆったりしている。全室に備わる専用露天風呂には大涌谷から引いた温泉が注がれ、白濁したやや酸性の湯は、肌にしっとり残る感触が印象的だった。

私たちが滞在したのは姫スイート。131平方メートルのワンフロアタイプで、居住空間だけでも90平方メートルを確保する、御門スイートと並ぶ最上位カテゴリーの一室だ。大きなテラスに露天風呂があり、室内にもバスルームを備えているため、天候や時間帯に合わせて過ごし方を選べる。冷蔵庫には無料のドリンクが用意され、ロデレールのハーフボトルシャンパーニュを含む内容も、この客室カテゴリーらしい配慮だった。

季節を映す京懐石

金乃竹 仙石原での夕食は、客室でいただく京懐石。京都の食材と地元の恵みを組み合わせ、季節の香りや食感を一皿ずつ丁寧に重ねていく。米は五ツ星お米マイスターの土屋和久氏が選んだものを使用し、艶、香り、粒立ちまで意識して炊き上げられる。追加で注文できる特別料理もあり、滞在の目的に合わせて食卓に少し変化を加えることもできる。

懐石は、季節の小さな前菜から始まる。器の上には色や形の異なる品が少しずつ盛られ、旬の素材が過不足なく並ぶ。見た目の華やかさだけでなく、最初の一口からその季節らしさが伝わってくる。

続く椀物は、日本料理らしい端正さが際立つ一品。黒塗りの椀に金の意匠が添えられ、澄んだ出汁の色合いを引き立てている。季節の野菜には細やかに包丁が入り、魚介の旨みが椀全体に奥行きを加えていた。

造りは、日本庭園を思わせる自然の趣を取り入れた器で運ばれる。彩りのよい魚介が並び、紫蘇や食用花が控えめに添えられている。なかでも印象的だったのは、姫スイートの宿泊者向けに用意された伊勢海老の刺身。ぷりっとした食感と甘みがあり、夕食の流れにほどよい高揚感を添えていた。

次の一皿は、寿司を現代的に解釈したような仕立て。陶器の器に、海老、細く仕立てた卵黄、黒いキャビアが重なり、そこへ甘酢生姜の淡いピンクと香草の緑が加わる。素材の置き方は端正で、味わいにも見た目にも軽やかな変化があった。

天ぷらは、薄く軽い衣で揚げられ、皿の上に余白を残して盛り付けられている。衣の香ばしさと素材の淡い甘みが重なり、食事の中盤にちょうどよいリズムを生んでいた。

メインは炭火で焼いた和牛。使われているのは、やわらかな肉質と濃い旨みで知られる地元の八重山郷里牛だ。焼き加減は申し分なく、添えられたソースが肉の旨みを引き立てる。脇の野菜や薬味も丁寧に選ばれており、重たくなりすぎず最後までいただける一皿だった。

締めには、釜炊きのご飯、味噌汁、香の物が並ぶ。認定米マイスターが選んだ米は、季節の素材とともに炊き込まれ、粒の立ち方と香りが際立っていた。旨みのある味噌汁と漬物が添えられ、華やかな料理の後に、ほっと落ち着く日本の食卓へ戻ってくる。

デザートは、漆の盆に盛られた季節の甘味。アイスクリーム、チョコレートクリーム、旬の果物が少しずつ並び、食事の余韻を穏やかに締めくくる。

客室でいただく朝食

翌朝の朝食も客室で。テーブルには白ご飯、小鉢、焼き魚、香の物、野菜、調味の効いたたれなどが整然と並び、旅館の朝らしい充実した内容だった。豆腐は一人用の温め器で適温に保たれ、最後までなめらかな状態でいただける。お茶と搾りたてのオレンジジュースも添えられ、量はしっかりありながら、朝の体にすっと入っていく献立だった。

夜のバーとスパ

客室を離れて夜を過ごすなら、Bamboo Barへ。スピリッツやシガーの品揃えに加え、果物を使ったカクテルも用意されている。水盤を望む空間は照明が抑えられ、湯上がりの一杯を静かに楽しむのに向いている。

@Kinnotake Sengokuhara
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Moon SPAでは、その時々の身体と心の状態に合わせたトリートメントを受けられる。施術は一人ひとりに合わせて行われ、強さや流れも細かく調整される。客室での時間にもう少し深い休息を加えたいときに、選択肢として覚えておきたい施設だ。

私の結論

金乃竹 仙石原は、箱根の山あいで静かに過ごしたい大人に向いた旅館だ。全9室という規模、各室の専用温泉、客室で完結する食事が、滞在に一貫したプライベート感を与えている。客室の広さや設備、夕朝食の内容、サービスの距離感まで含めて、ふたりでゆっくり時間を取りたい旅にはとても相性がいい。日本らしい旅館滞在を、よりパーソナルな形で楽しみたい人にすすめたい一軒である。

良かった点:

  • 姫スイートは印象に残る客室。約130平方メートルの広さに、十分な快適性、そして大きなテラスに設けられた専用温泉がある。
  • 夕食も朝食も客室でいただけるため、カップルでこもるように過ごしたい滞在に向いている。
  • サービスの水準が高い。きめ細かく、滞りがなく、全9室という規模だからこそのパーソナルな対応がある。英語対応も非常にスムーズだった。

気になった点:

  • ブラインドの遮光性はやや弱く、明け方の光が気になる人は少し早く目が覚めてしまうかもしれない。

実用情報

  • 2026年2月の滞在時、姫スイートは朝夕食付きで1泊1,500ユーロ。

連絡先

Kinnotake Sengokuhara

817-342 Sengokuhara, Hakone, Ashigarashimo District, Kanagawa 250-0631, Japan Google マップで開く

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