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銀座に生まれた現代の旅館「FUFU 東京 銀座」

Florence Consul
Florence Consul ·

東京の熱気が行き交う銀座に、旅館の趣と現代の快適さを重ねた「FUFU 東京 銀座」が誕生した。開業は2025年11月。自然豊かな土地で温泉宿を展開してきたFUFUにとって、初の都市型ホテルとなる。全34室のスイートには庭と温泉風呂があり、街の賑わいからひと息つける空間が広がっている。

銀座の中心で、街の賑わいと距離を置く

立地は、このホテルを選ぶ大きな理由のひとつだ。ファッションブランドの旗艦店や名高い宝飾店、ミシュラン星付きレストランが徒歩圏内にそろい、築地場外市場や皇居にも足を延ばしやすい。東京駅から近いうえ、7路線の地下鉄を利用でき、市内各所への移動にも便利だ。華やかなショーウインドーが続く街を歩き、静かな客室へ戻る。その鮮やかな切り替えに、銀座に泊まる面白さがある。

@FUFU Tokyo Ginza
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FUFUが初めて手がけた都市の宿

2025年11月16日に開業したFUFU 東京 銀座は、「スモールラグジュアリーリゾート」を掲げる同ブランドの新たな展開だ。箱根、富士河口湖、日光など、自然に恵まれた土地で温泉と現代的な旅館のあり方を追求してきたFUFUが、初めて都市の中心へ進出した。日本建築の美意識や自然とのつながりを、東京の街中でどう生かすのか。その試みを支えるのが、国内のホスピタリティグループとして最多となる7つのミシュランキーを獲得してきた実績である。

@FUFU Tokyo Ginza
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土と手仕事を取り入れた空間

エントランスは銀座の穏やかな路地になじみ、大通りの喧騒とは対照的な佇まいを見せる。土壁を思わせる外壁には、建設時に掘り出された土の記憶を残す造形や瓦の断片が配されている。ロビーで目を引くのは、黄土色に染めた布のインスタレーション。伝統的な泥染めで仕上げた作品が、この建物と土地との関係をさりげなく伝える。障子や和紙の照明も柔らかな表情を添え、簡素な空間に温かみを残している。

@FUFU Tokyo Ginza
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館内を貫くのは、土を思わせる色と、彩度を抑えた秋の色調だ。和の意匠を取り入れた設えに、季節の生け花や壁面の書、竹を編んだ彫刻が置かれている。古くから使われてきた素材や技法を、そのまま装飾として並べたわけではない。昔ながらの旅館を再現せず、その感覚だけを今の東京に合う形で取り入れている。

庭と温泉を備えた34室のスイート

客室は全34室、11カテゴリー。各スイートには和の植物を配した専用庭があり、葉の揺れる音やほのかな香りが室内にも届く。間取りは一室ごとに異なり、客室名には庭に植えられた植物の名が付けられている。室内から季節の変化を眺めていると、東京でもひときわ時間の流れが速い銀座にいることを、しばし忘れる。

@FUFU Tokyo Ginza
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客室カテゴリーはStylishから最上位のFUFU Luxury Premiumまで幅広い。どの部屋にも専用の温泉風呂が備わる。旅館でも全室に温泉を引く宿は決して多くない。まして、ここは銀座の中心だ。人目や時間を気にせず湯に浸かれることが、滞在の心地よさを大きく左右する。

@FUFU Tokyo Ginza
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私たちが滞在したのは、94〜98平方メートルのPremium Suite。SLEEPLEASUREのダブルベッドを2台備え、浴室には檜の浴槽が置かれている。客室を囲むように延びるバルコニーガーデンからは視界の開けた眺めが広がり、ゆとりある室内にいながら庭を身近に感じられた。用意されたパジャマは着心地がよく、客室だけでなくルーフトップバーや個室の食事処でも着用できる。館内着で気楽に過ごす旅館の習慣が、都市のホテルにも違和感なくなじんでいた。

会席と鮨、趣の異なる二つの日本料理

日本料理「Ginza Gayu」では、全国から届く食材を使い、季節に応じて献立を替える。盛り付けには現代的な感覚を取り入れつつ、料理の流れや素材の扱いは日本料理の基本に沿っている。食事をいただくのは、旅館を思わせる落ち着いた個室。周囲を気にせず、料理と向き合える。ワインと日本酒も幅広くそろう。

@FUFU Tokyo Ginza
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一方の「Sushi Ginga」は、わずか8席の鮨カウンター。季節ごとに選んだ魚介を、職人が目の前で一貫ずつ仕上げるおまかせ形式だ。余計な装飾を抑えた空間だけに、包丁の動きや握りの所作までよく見える。Ginza Gayuの個室とは違うほどよい緊張感があり、一貫ごとの味に集中できる。

@FUFU Tokyo Ginza
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Ginza Gayuの夕食

夕食は河豚の白子から始まった。歯触りを残した白菜と浜防風を添え、黒七味の穏やかな辛味に柚子皮の香りを重ねている。濃厚な白子に、みずみずしい野菜と柑橘の後味がよく合う。

続く前菜は、季節の味を少量ずつ盛り合わせた一皿。鴨胸肉の塩蒸しとうどのきんぴらには金柑のソース、小蛸の旨煮には菜の花を合わせる。山菜の漬物、ひろっこと蕨、揚げた干し烏賊の取り合わせからは、早春らしい野趣が感じられた。香ばしい桜海老とチーズの春巻きの後には、海鼠酢と柚子を利かせたとろろで口を整える。煮穴子の寿司まで、味わいに変化のある構成だった。

椀物は、澄んだだしをじっくり味わう仕立て。中央に蟹と豆腐の揚げ物を据え、筍と蕪の葉を合わせている。人参の色と木の芽の香りも春らしく、前菜の余韻を静かに切り替える一椀だった。

刺身は平目と海老、中トロ、赤身の盛り合わせ。納豆醤油やモクラのポン酢和え、自家製醤油、煎り胡麻、昆布を使い、魚に応じて味わいを変える。辛味大根とわさびを少量添えると、脂ののった鮪にもすっきりとした後味が生まれた。

季節の鍋は鮟鱇。柔らかな身を、豆腐、大根、人参、蒟蒻、三つ葉、薄切りの葱とともに温かなだしでいただく。柚子の酸味、七味の辛味、和辛子の刺激を合わせたたれが、淡泊な鮟鱇の味を引き立てていた。

炭火で焼いた黒毛和牛には、海老芋と筍が添えられていた。肉は柔らかく、炭の香りが脂の甘みを引き締める。塩、わさび、店独自のたれが用意され、ひと口ごとに味を変えながらいただいた。

食事は、土鍋で炊いたご飯で結ぶ。白身魚の天ぷら、百合根、ごぼうの葉、紅生姜、白胡麻がのり、食感と香りに変化がある。傍らには赤だしが添えられ、温かな汁物にほっとする。

甘味は、蕨粉を使った透き通るようなわらび餅。鮮やかな青い器に苺とデコポンを盛り、上からかき氷を重ねている。果実の酸味と氷の冷たさで、わらび餅の穏やかな甘みが軽やかに感じられた。品数の多い夕食の後にも心地よい一品だ。

四段の重箱でいただく朝食

朝食「Igayuuzen」は、四段の木箱で供される。スタッフが蓋を開けると、わかめや蒸し卵、だし巻き卵、焼き茄子、鰯の山椒煮などが各段に整然と並んでいた。料理の内容を記した案内も添えられ、ひと品ずつ確かめながら箸を進められる。土鍋炊きのご飯と味噌汁が食卓の中心にあり、最後はメロン。品数は多いものの、それぞれの量が控えめで、朝でも無理なく味わえた。

銀座の客室で楽しむ熱海の湯

客室の浴槽には、FUFU 熱海の自家源泉からタンクローリーで毎日運ばれる天然温泉が注がれる。東京にいながら熱海の湯に入れるのは、このホテルならでは。カルシウム、ナトリウム、硫酸塩、塩化物を含む湯は約40度に保たれ、好みに応じて調整できる。筋肉の痛みや慢性的な皮膚症状の緩和が期待される泉質だという。それ以上にうれしいのは、外出から戻った後、自室ですぐに湯へ入れることだった。

@FUFU Tokyo Ginza
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屋上庭園の足湯と夕景

屋上ラウンジ「Yusora」には、熱海の温泉を引いた足湯と、銀座の街を見渡せる庭がある。植栽に囲まれたプライベート感のあるアルコーブにはデイベッドが置かれ、音楽を聴きながら東京の風に当たれる。16時から20時まではセルフサービスのバーが開き、ワインやノンアルコール飲料が並ぶ。日が落ち、街の灯りが少しずつ増えていく頃に訪れたい。

@FUFU Tokyo Ginza
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滞在を終えて

FUFU 東京 銀座には、館内着でくつろぎ、温泉と食事を自分たちのペースで楽しむ、旅館らしい気楽さがある。なかでも、すべてのスイートに専用の温泉風呂を備えている点は、賑わいの絶えない銀座では大きな魅力だ。庭を眺めながら休み、好きな時間に湯へ入る。食事も個室でいただけるため、滞在中は外からの視線をほとんど意識せずに済んだ。東京の中心にいながら、客室を軸に静かに過ごせるホテルである。

印象に残った点

  • 旅館の趣を現代の銀座になじむ形で取り入れていること。
  • 全客室に専用温泉があり、人目や時間を気にせず入浴できること。
  • 朝食、夕食ともに質が高く、落ち着いた個室でゆっくり味わえること。

気になった点

  • 夜のターンダウンサービスは事前に依頼する必要があったものの、その案内がなかったこと。東京にあるこのクラスのホテルとしては、やや意外に感じた。

基本情報

  • 2026年2月のPremium Suiteは、朝食・夕食付きで1,400ユーロ。

FUFU Tokyo Ginza

Ginza1-4-6, Tokyo, Japan Google マップで開く